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100% 嘘八百 ♪ PRINCEを愛するD&Pによる、PRINCEをめぐる妄想の数々


by DandP

4  歌謡サクリファイス劇場


 本当に、まったくもって、あれは恐ろしい事件だった。

張り込みのためにリムジンから外を眺めるヴィクトール。
その視線の先には棺桶がいくつも積まれている。(写真では多分舞台の装置の仕込みかバラシのように見えるが、まあ、そういうことにしておいて)夕べのうちに起きた殺人事件。死体の多さに、ちょうど近くの広場で処理が行われていた、というところ。
広場には、棺桶とそれを眺める野次馬とで一杯だった。累々たる死体。その数、23。

 死体はどれも男で、どうやら情事の最中、しかも達する前に、こときれていたようだ。そして、恐らく直前まで激しく鼓動していたであろう心臓が、ばっくりと胸に穴をあけて、えぐり取られていた。

つまり、一晩の情事で23の死体、というわけ。

 犯人は必ず現場に現れる、の持論を立証すべく、ヴィクトールはこうして張り込みをしていたのだった。
「Yo、旦那、ヴィ、ヴィクトール
こりゃ、ひでえ、ここんとこ、見ねえ、ありっこねえ
テルミ ウォチュウォン、テルミ ウォチュニー、殺人、セイッ
やってくれた、誰、ウォチュニー、ア~~~~~~~~イィ?」

「コレリ君、君の事はお父さんのティーチャー・銘塩から頼まれて、確かに雇った。運転手としてね。でも、その変な話し方はなんとかならないのかい?第一、それ、あんまり上手くないと思うよ。」

「わかりました、旦那。あんまりとんでもない殺人事件なんで、つい、心が調べにのっちゃって、口ずさんじまいました。しかし、いったい誰がこんなひでえことを・・・?」

「殺人事件。そう、盗難届も出さなきゃいけないね」

「??」

「盗まれたのは、心臓が23個。」
by DandP | 2003-03-06 14:52 | サクリファイス/ビクター